「ROOMMATE3~風の輝く朝に~」 Review

  1. スト−リ−概要
    スト−リ−は、「in summer vacation」のラストでアメリカに行った涼子が、受験勉強のために帰ってくるところから始まります。
    スト−リ−は大きく3つに分かれます。すなわち「スタ−ト-受験当日」「鎌倉デ−ト」「涼子の母が倒れる-エンディング」です。
  2. レビュ−
    この作品での、製作者の大きな間違いは、「鎌倉デ−ト」以降の展開にあると思います。
    この作品は、通常、3分から5分で1つのイベントとして処理し、新しいイベントが起こるには1つ新しい時刻(5時**分なら6時**分)を待つ必要がありました。
    しかし、「鎌倉デ−ト」においては、いろいろな場所を回るということから、デ−トを、まるごと1つのイベントとして処理してしまいました。これは、この作品の核のシステムであるリアルタイム制を廃してしまうことになりました。
    現実の時間という、体験する世界における時間の経過が非常に速いゲ−ムユ−ザ−にとっては実に長い時間の中で、プレイヤ−が涼子のいろいろな面を理解していくことで、プレイヤ−がより強く感情移入が可能になるシステムだったと思います。
    ところが、制作者は「鎌倉デ−ト」でこの前提を壊してしまいました。「鎌倉デ−ト」では朝から夕方までの時間を30分程度で消化してしまいます。これでは、デ−トというものの一つの性格である、長い時間を一緒に過ごしたという実感が味わえません。この場面だけ現実の時間に対応していないことに違和感を覚えることもあるでしょう。スト−リ−上では、2人の関係が少し進みそうな雰囲気になる、一つの山場でもあるだけに、なおさらです。
    そして、このことよりも大きな、致命的とも言える失敗が、「涼子の母が倒れる-エンディング」の部分です。
    「鎌倉デ−ト」の後、涼子は本命校には落ちるも、他に受験した大学に合格します。そんなとき、涼子にアメリカから家族からの電話が入ります。涼子の母親が倒れた。これ以上母親を不安にさせるわけにはいかないので、アメリカに来てアメリカの大学に入学してくれ」と言うのです。
    涼子は悩みます。プレイヤ−とともに残るために日本に残るべきか、母親のためにアメリカに行くべきか、ここからエンディングまでは、そんな涼子に対してあなたはどうするのか、ということになるのではないか、と思われました。
    しかし、涼子は一人で悩んでしまいます。そして一人で結論を出してしまいます。
    選択肢によってプレイヤ−が励ましたり、アドバイスを与えたり、「残ってほしい」と言ったり、「行くべきだ」と言うことも、少なくとも私のプレイではできませんでした。ただ見守るしかなかったのです。
    過去のシリ−ズ、スト−リ−上では約1年になるでしょうか、その間に築いてきたプレイヤ−と涼子との関係は、こんなものだったのでしょうか。
    エンディングは確かに一つのハッピ−エンドです。しかしそれが喜びに変わることはありません。
    あるいは一つのスト−リ−としてこういうものもあり得るかもしれないし、一つの説得力を持つものでもあります。しかしこのスト−リ−は、ゲ−ムにする必要のないスト−リ−でしょう。
    制作者の犯した2つ目の、そして最大の過ち、それはゲ−ムがインタラクティヴメディアであることを忘れ、あたかも自分の考えたスト−リ−に陶酔したかのように、プレイヤ−の介入を許さない、一方的な展開のシナリオを書いてしまったことでしょう。結果的にシリ−ズをずっと遊んでいたファンへの裏切りと言うのも過言ではないのかも知れません。
  3. ミニゲ−ムについて
    ゴミ捨てとハ−ブの育成ですが、ある時期で強制終了します。イベントが起こらないときの暇つぶしになったので、残念でした。

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